子供の頃からあまり誰とも遊ばず、部屋に籠ってひとりで何かをする性格でした。
今でもそう変わりありません。
絵を描いたり、本を読むのが好きでした。だからといって外へ出ることが嫌いというわけではなく、ぼくはぼくの頭の中で世界中を旅していました。
時には空を飛び、時には海を泳ぐ。
ドラゴンやクジラと並んだりして。
ぼくは饒舌に言葉を語る人間ではありません。だからといって誰かと心を交わらせることを拒否していたわけではありません。
絵や作品で、ぼくは自分のすべてを語ってきました。
今でもそうです。なにひとつ余すことなく、語っています。
ぼくのライフワークでもある「切ル・観ル」は、多くの人の目の前で切り絵を描くパフォーマンスです。
ぼくが描く切り絵が視覚的な表現であるのに対し、聴覚に訴えかける優れた芸術家たちが世界にはあまたおります。
ぼくはこの「切ル・観ル」を介して、彼らと幾度も共演してきました。時には踊りをする表現者たちとも。
ぼくにできないことを彼らは優雅にやってのけます。彼らもまた、ふだんの各々のステージでは生まれないような瞬間を、ぼくとの時間の中で感じてくれているものと信じており、それこそが芸術の存在する意義であると思うのです。
昨年末の「切ル・観ル」では、このHachiの独特の手法でおこなうパフォーマンスを考案してくれた恩人に、初めてステージを披露することができました。様々な事情があって、その人には10年越しに初めてご覧頂くことになりました。
この出来事はなにか一つ、節目のようなものを感じました。
お陰様で(と自分では思っております)年明けすぐに、大衆演劇団との共演というあらたな段階にもゆくことができました。
何度立っても、ぼくのキャンバスは常にまっさらであると実感します。思い知らされます。
そして7月28日、また新しい作品を素敵な音楽人と生み出します。どうか宜しくお願い致します。
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