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カッターインザダーク。~個展「MUSE」に関する記録デンジャラスデイズ⑨~

全10回に渡って、2017年11月24日に終了した個展「Muse~いのちのためのオムニバス~」開催の経緯と終了までをブログで投稿します。

ぼく自身が次の活動への資料と、今後の反省のために記録するブログです。

同時に、読む人が面白がってくれたり、何かの参考になれば、という思いもあります。

デンジャラス・デイズ~個展「Muse」の裏側~

全10回

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目次

第9話 カッターインザダーク。

切り絵という重労働スタート。

2脚合わせた作業机に、1,5mを越える巨大な水彩紙を置く。

下絵を上に貼り合わせて絵を切り抜くはいつものことですが、硬い水彩紙を切るのは普段より力がいります。紙の端の方の作業は椅子に座ってできますが、真ん中あたりになると、立ったまま上半身を90度に折って伸ばし、カッターを突き立てる。腰に随分負担のかかる姿勢でした。

大きすぎて簡単に移動できない。

アトリエで絵画教室も行っているので、制作途中の作品をそのままにしておくことが出来ない💦

小さな子どもたちを自由にさせるためには、開講時間にはややこしいものは置いておけない。やりかけの作品はリビングへ移動し、また戻して作業することとなる。それは別にいいんですが。問題は移動のやり方でした。1596mm×1111mmの紙を、75センチほどの高さのテーブルから持ち上げ、隣りの部屋へ行き、床に置く。たったこれだけの工程を、汚さず、折れないように、やる。しかも制作が進むほど紙は切り抜かれていくわけだから弱くなっていき、引っかかりやすくもなっていく。ぼくは身長が168センチ。この紙を両手でつまんで持つと、目の前は見えない。横歩きしながら、周りに置いてあるものを気にしつつ移動する。

しばらくしてぼくは、このLサイズ作品持ち運び専用の板を作りました。もっと早く思い付くべきでしたが、何事もやってみないとわからないものです。ほぼ作品に匹敵する大きさの板に、作品が汚れないように上質紙を貼っただけのもの。これをテーブルの上の作品の下へ少し差し入れ、滑らせながら板へ移動させる。この作業も、細かい切り口がひっ掛りそうになるのを気遣いながら行う。それからクリップで板に作品を留めつけ、別の部屋へ板ごと運ぶ。慎重に床に置き、ゆっくり滑らせて作品を板から離す。これで作品が折れることがない。

大きな作品を作るとき、いまでもこの板を重宝しています!

闇の中での制作。

そんな作業を繰り返しながら春が近づいていく。この時点で個展は9月開催ということになっていました。そんなある日、自宅の電気を止められた。電気料金の未払いのせいでした。結局2週間払えず、ぼくは水風呂に入り、(オール電化なので)カセットコンロで食事を作る。知り合いのお店へ炊飯器ごと持参して米を炊く。薄暗い雨の日には、その店先で作品を制作した。夜になると、登山用のヘッドライトを装着し、暗闇の中で制作した。全く辛くなかった。無事に作品ができること、それは生きてさえいればできる。何も邪魔することなどできない。むしろ、この時、暗闇のおかげである発見をしました。

ぼくの切り絵制作は、手を動かす時間より、紙を空中へ上げて作品全体を見直す時間のほうが多い。今回のサイズでは持ち上げるのが大変だったので、片手で一部を上げて、ペンライトで照らす。すると、闇の中、壁に映し出された絵のあまりの美しさに息を呑んだ。ライトを近づけたり遠ざけたりすると、絵の大きさも、映り方も変わる。当たり前のことじゃないかと、どうかそんな冷めたことを言わないでほしい。影絵は光で見せること前提の作品で、原画より投影がメイン。ぼくの今回の作品は、サイズそのもので圧倒したくて作っている切り絵。原画の大きさ・質感がメインでもあるから、出発点がそもそも違う。光を当てた際の絵の緻密度、サイズの変化の幅も違う。鑑賞者が観たい個所を、観たい大きさにして観れる。そんな遊びができれば楽しい。絵は、作者の感覚や意図を遥かに越えて、観る人の物になるべきだ。そんな願いに近づけるかも知れない。

最終回へとつづく。

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