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初めて切り絵を買ってくれたのは、ぼくの母。

先日、人気漫才師ダイアンさんの単独ライブを見に、大阪は「なんばグランド花月」に行ってきました。

※画像看板の「2022」は、昨年予定していた公演が今年延期になったため

開演前、現地で、チケットを持つ知人女性と待ち合わせをしていると彼女からこんなDMが。

「いま、グッズ売り場にいます。そこになんと、きみこさんがいます!!」

きみこさん。

ダイアンファンの間では言わずもがなやがな、の人物です。
ダイアンのツッコミ担当・津田さん(ゴイゴイスーの人です)のお母さまです。

いわゆる「人気芸人の母」としてファンからも愛されるお母さまです。

芸人さんのお母さまとして、過去に人気者となっていった方々で言いますと、
ダウンタウン松本さんやFUJIWARA原西さんなどがおられます。

皆さんもよくご存じかと思いますが、
単なるお調子者やただただ関西のオカン、
というだけではない個性的なキャラクターと、

唯一無二のチャーミングさを兼ねそろえていないと、
「人気芸人の母」
として一般のおばちゃんが人気者にはなれません。
あと必要なのはサービス精神、根っからの。

あ、そうそう、
そうなるためにもうひとつ大事なものがあります。

それは・・・

この日、グッズ売り場では、ダイアンファンのひとりひとりと丁寧に言葉を交わし、快く一緒にお写真を撮影される、きみこさんの姿がありました。

その様子をぼくは、連れの女性と遠巻きに見つめていました。
「一緒に写真撮りたいなあ」という気持ちを抑えて、
われわれ「落ち着いたファン」はご高齢のお母さまもお疲れになるだろうということで、
そっと見守ることにしました。

かといって、写真を撮ったり声をかける人たちがいけないというわけではなく、それぞれの愛し方ですね。

むしろこの写真が拡散されたほうがいいに決まっていますから!

さて、きみこさんは持ち前のサービス精神だけで、ファンサービスをされているわけでは、きっとないです。

まさに、これは1人の息子への愛、以外何物でもありません。
少しでも、息子の援護射撃になればいいって心から願っているんでしょうね。

ぼくはこの様子を見ながら、こみ上げるものをこめかみに力を入れつつ抑えていました。
ぼくは自分の母親のことを思い出していました。

このきみこさんと同じような年齢の母親です。

10年前、初めて自分の切り絵を展示した、街のカフェでの小さな展覧会を開催した際、一枚目の作品を買ってくれたのは母親でした。
正直、ぼくは当時あまり快く思わなかったですし、「あげるよ」と言っても拒否されました。

プライドもあります。

アートが分かる、見ず知らずの人が自分の作品を認めて買うのとは違う…や、オカンて…と。

昔、ある本で読んだんですが、こう書いてありました。

「初めて絵を売るとき、身内に買ってもらえ」と。

そこで文章が終わっていたら、納得いかないのですが、こう続きがあります。

「・・・身内すら買わないような絵は、まったくこの世に通用しない。まずはたった一人を納得させろ」

正直、当時母親が購入した切り絵と、いま八田が作る作品とは出来栄えに違いはあります。しかし、あの時買ってくれた1枚がまぎれもなく現在につながっているわけです。

今でも時々不思議に思います。

見ず知らずだった、生まれた場所も育ちも異なる人間が、八田の作品を買ってくれる、人生の不思議を。

赤の他人であるダイアン津田さんのお母さまの様子は、ぼくの母親を照らし出していました。

屈託なく笑い、息子のギャグのポーズをキメて写真撮影に応じるきみこさん。まあ、関西のオカンなので、根っからちょける(ふざける)のが好きというのもあるでしょうが、そこは人間の愛嬌。

それはやはり「愛」が突き動かしています。

こういうお母さまの行動に対して、ラジオやTVでまじで怒っている(怒ってみせている??)津田さんは芸人として最高に輝いているんです。
ぼくの方は全然違う職種だから同じリアクションはとれませんが、きっと心の内は同じかと思っています。

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