この作品は2022年6月4日から1週間開催されたグループ展に出品しました。
「月夜の約束」というタイトル通り、ゆびきりをするポーズの女性と三日月を描いています。
月というモチーフはぼくのお気に入りで、頻繁に使用します。
ゴッホが太陽を良く描いたように、作家のお気に入りのモチーフというのはその人の性格などを表すものではないでしょうか。
太陽とは対照的な輝きを放つ月。
圧倒的に周囲を焼き尽くすような炎より、静かに狂気をもはらんだ穏やかな月の光は、ぼく自身の内面に近い気がします。
また、三日月の黒い部分というのは「欠けている」と表現されることがよくあります。が、実際には暗くなっているだけですよね。
絵で表すとき、ぼくの作品のように実際にはありえない独立した形として表現できるところも月というモチーフの面白いところです。
さてこの作品で描いているのは三日月の輝いていない部分、つまり隠された、目には映らない部分にこそ、その美しさが秘められているといったこと。それは人であれ、生き物であれ、自然であれ、物であれ。
これまた僕の作品にお馴染みの、花で埋め尽くされた女性の「ゆびきり」のポーズ。この作品では「約束する」ということ自体に意味はなく、このポーズが個人的に好きだからです。
どこか幼げで頼りなさげな「ゆびきり」。でもその目的は「嘘ついたら針1000本飲ます!」という力強くも攻撃的な意思。動作のチャーミングさとは裏腹な意思の二面性に、ぼくはいつも魅力を感じます。
この女性は架空の女性です。
ぼくが魅力的に思った複数の方々の面影を閉じ込めています。女性が登場するほとんどの作品で、ぼくがとるスタイルです。
ちなみにこの女性の花々。ぼくのアトリエのすぐ前に住んでおられるおばあちゃんが大切に育てている花をスケッチさせてもらっています(笑) これもいつものこと。近所に3軒ほど、おばあちゃんがお花育てておられるおうちがありますので、季節ごとに絵を描かせてもらっています。
まさかこんな切り絵になっているとはご存じありませんが(笑)
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