今回のブログはとあるアーティストのことをお話したくて・・・
そのアーティストとは・・・
その人の名はジャッキー・チェン!
いやいやアーティスト??
って言いたくなるのもわかりますが、
ジャッキー・チェン。
アクションスターであると同時にクリエイターでもある人物です。
映画監督やプロデューサー、脚本やアクションの殺陣&構成なども兼任して、映像作品の創造に半世紀も携わっている方です。
アーティストは何も絵を描いたり、
音楽作ったりする人だけの名称ではありませんよね!
「映画人」も立派な芸術家と言えます。
文芸作品であれ、アクションであれ。
かのジェームズ・キャメロン監督(「タイタニック」「アバター」の映画監督)も
はじめてジャッキー・チェンに会ったとき
「あなたの作品を見て育ったんだ!」
とハグしたくらいですから!!
さてそんなジャッキーですが、ぼくの世代(1970年~1980年あたりの生まれ)はけっこう子供のころからなじみ深いスターだと思います。
作風や容姿など、皆さんの好みとかあるでしょうから好き嫌いはあるかもしれませんが、その名を知らない人はいないと思います!
ぼくは昔から大ファンでした(今も!)。
若い世代にはピンとこないかもですが、
新作のたびに映画館は超満員、通路も後ろも人で溢れてる。
ご結婚が世間に知れ渡ったときは、日本女性のファンが香港にあるジャッキーの事務所でその方が自ら命を絶たれる、
という悲しい出来事が起こるほど・・・
(あまり相応しくない例かもしれません。すいません。でもぼくとしてはとてもその気持ちが理解できますし、何十年経っても忘れたくない)
とにかく特に日本で熱狂的ブームでした。
そんなぼくもジャッキーに憧れて、幼少のころは髪を長くしてました(笑)
ジャッキー・チェンになる! と本気で夢見ていた少年の一人です(^^♪
そしてここからがようやく今回の本題です。
当時、いろんな雑誌や写真集が発売され、
アイドルみたいな笑顔とポーズをキメるジャッキーを
ぽ~っと眺めていたんですが、ひとつ、
無性に気になって仕方がないことが。
「映画のジャッキー、あんなにかっこいいのに
服、ださいな・・・!」
80年代の芸能人です。
妙にカラフルな服。
変なサイズ感・・・
もちろんコーディネーターがいたり、雑誌の都合もあるんでしょうが、映画でのご本人との雄姿、そのギャップがあまりにもありすぎて子供心に違和感を覚えたものです。
しかし、かなり後になって、その理由を知ることになります。
さすが世界で愛されるエンターテイナーです。
ちゃんとそこには知られざる理由がありました。
ジャッキーには10代後半から20代初めに、初めてお付き合いした女性がいました。
ジャッキーは当時、名もないスタントマンのひとり。
映画での仕事はといえば、
主人公に殴られたり、
主人公の代わりに危険なシーンを演じる
というもの。
リスクが高いわりにどれも顔が映らない役。
明けても暮れてもそんな仕事に日々を捧げていました。
いわば誰でもいいわけです(もちろん訓練を積んだ人でないとできませんが)
今と違って、保険もない、誰が死んでも他に代わりがいるから気にも留められない、そういう過酷な仕事だったようですね。
もちろん、もらったギャラはその日のうちに食いつぶすようなその日暮らし。
だって
いつ死ぬかわからないような仕事ですから(;’∀’)
そんなジャッキーのガールフレンドは、お金持ちのお嬢さん。
お芝居の仕事で出会った女性でした。
貧乏なジャッキーにお金を貸してくれたり、
お部屋で仕事帰りを何時間も待ってくれたり、
とても控えめで優しい女性だったそうです。
ジャッキーのご両親とも仲良かったとか(別れてからも)。
しかし身分の違いすぎる彼女への劣等感からジャッキーは、いつしかそんな彼女に邪険(「蛇拳」じゃないですよ!)な態度をとるように。
結局つかの間の交際のあと別れ、その後大スターになり、20代後半に別の女性(女優さん)と結婚したジャッキー。
ひょんなことから彼女の消息を知ります。
彼女は独身でブティックを経営しておりました。
それを知ったジャッキーは、自分の事務所のスタッフに大金を渡し、その店で好きなだけ服を買うように命じます。この頃はジャッキー、大金持ちになっていましたから。
大スター・ジャッキーの影が見えないように、慎重に命じます。
その後、何度もいろんなスタッフや関係者を使って買い物をさせました。
もちろん、彼女に幸せになってほしかったから。
1人で暇そうにしていたら、話し相手を差し向けたり。
ジャッキーは仕事の合間(当時の香港映画は2~3本同時進行で撮影とか当たり前の頃です(笑)にこそっとお店を遠くから見ていたそうです。
彼女が店を畳もうとしていると知ると、
お客を装わせたスタッフに
「ここは良い物件です。このお店を買い取らせてください。そしてあなたを雇われ店長にしたい」
と話をもちかけさせたりしました。
しかし、結局彼女は「経営不振」を理由にお店を閉めることにします。
そして閉店の日。
ジャッキーはみんなに買い物へ行かせ(もちろんお客さんの顔して)、最終、在庫をすべて買い取ることになりました。
・・・ジャッキーが80年代当時、
よく雑誌や写真集で着ていた服。
それはほとんど女性もの。
彼女のお店から(間接的に)買ってきた服だったんだ・・・
2017年に刊行されたジャッキーの自伝のなかで語られました。
ジャッキー曰はく
「彼女はぼくがスタッフに店へ行かせていることを知っていた。だから店を閉めたんだ」
と語っています。
ぼくはこの話が好きで、今でもたまにこのくだりだけ読むんです。
ジャッキーファンとしての目線から見ると、
「ただひたすら優しい」
「男の中の男!」
「おれもこうなりたい!」
とか思えるんですが、
いざこの女性の立場になると・・・
いろいろ複雑な思いがあるんだろうなって気がします。
現在も独身だそうです(自伝の刊行2017年当時)。
もちろん本の中でも、
ジャッキーは美談として語ってるわけではなく、自分の人生のなかのひとつの「事実」として淡々と述べています。
せつないほど客観的に(´;ω;`)
このあたりの人間の機微を理解できるのは、ぼくにとってももう少し後のことかもしれません。
でもひとつ、若い頃のジャッキーの写真を見て
「服ださい」
って思ってたことは
「ごめんよジャッキー!」だし、
謎が解けてすっきりしました。
ぼくはジャッキーファンという余分なフィルターでしか、この物語を読み解けない。
ただ、何かしら、どんな人であれ胸を打つ物語であることは間違っていないと思ってます。
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