切り絵アーティストHachiによるパフォーマンス。
「切ル・観ル」。
これはおそらく世界でもぼくひとりしかやっていない手法で行っていると思います。
「切り絵」という技法を使ってのライブパフォーマンスも、ぼくの大事なアーティスト活動の一部です。
気が付けば2013年6月の第一回目を皮切りに、21公演行ってきました。
ライブハウスを借りたり、中学校や図書館などのコミュニティーに招かれて行ったり、ギタリストに演奏してもらったりピアニストと一緒に絵のテーマソングを作って歌ったり。様々なパッケージでパフォーマンスをしておりますが、小さなイベントで披露したものも合わせればもっと多くのパフォーマンスしてきたと思います。
ライブドローイングと呼ばれるアートパフォーマンスの部類に入ります。
そもそも「ライブドローイング」は何かと言いますと、大勢のお客さんの前で絵を描くパフォーマンスです。完成作とその制作過程もふくめてひとつの作品、となります。一般的には絵具を使って描くパフォーマンスの方がイメージしやすいかと思います。
ぼくが「切り絵のライブドローイングをやろう!」と決めた時、そのお手本となるパフォーマンスをそれまで見たことがなかったんです。つまり切り絵作家さんの誰かに触発されて始めたわけじゃないんです。
切り絵を自分の画法と決め、活動開始した2012年暮れからずっと考えていました。ぼくはどうしてもミュージシャンのように、観客の前で切り絵を描きたい、と。その時、ぼくは他の人を手本にしようという発想に至らず、とにかくどうやったら大きい黒い紙を切るパフォーマンスを実現できるかを検討しました。
切り絵をやったことある人・切り絵の原画をどこかで見たことある人は想像できるかと思いますが・・・
大きな紙の切り絵を制作するのがとても難しく、またそもそもたくさんの人が見れるほど大きい黒い紙を準備するのが困難であることを。
白いキャンバスや気の板に描ける、絵具とは勝手が違いすぎますよね。
切り絵ってほら、どうしても民芸細工のような小づくりな作品が多いじゃないですか。どうしてもそうなるのは、「細かさ」を優先した作品が一般的だからでしょうね。作り手の意思がそうさせるのか、見る人がその「細かさ」を望むのか。それはちょっとわかりません。でも細かさが切り絵の美しさの大切な要素であることも間違いありません。
でもぼくはもとから「細かさ」というものに興味がなかったんです。今現在はわりと細かい切り方をした作品が多いですが、初期の作品はけっこうザクザクと大きなパーツを切り抜いた作品ばかりでした。まるでマティスみたいに。だからもとから他の切り絵作家さんとは見ているものが全く違うというか(たぶん)、その領域の中で目指すものというのがなかったんです。今でもそうですが。
なのでとにかくでっかい切り絵を作って、その様子を楽しんでほしい! と考えました。
この2012年頃も、いま2022年もYouTubeで「切り絵 ライブ」で検索するとわかると思います。ぼくのようなでっかい切り絵をパフォーマンスとしてやっている人はいません。
また第1回目を準備する当時、ちょっと変わった知り合いに相談して、今のぼくのパフォーマンススタイルにつながるアイデアを出してもらったんです。その手法・サイズ、どこから見てもぼくだけが挑戦してることだから、まあ手前みそではありますが・・・
このHachiのパフォーマンスは世界唯一無二! なんです!
まず観客の皆さんが目にするのは、立てかけられた板に貼られた約1メートル半の黒い紙。そしてその裏側には、赤や黄、水色やピンクなど違う色が数種類隠れている。カッターナイフで切り抜く力加減によって、手前の色が現れたり奥の色が出てきたり。
見ている間に黒いキャンバスには絵が現れ、色も形も変貌していくわけです。
1時間ほどみっちり集中するので、とてもエネルギーを消費します。
ただ、見ているお客さん方もすごく集中してくれる。
始めた当初は「1時間も見てくれるかな。退屈しないかな」という思いで、いろんな方に音楽を演奏してもらったりもしました。どうやったら面白おかしく皆さんに喜んでもらえるか、けっこう途中試行錯誤の時期はありました。いつも作品にはタイトルがまずあって、パフォーマンス後にはそのてーまについてお話をします。常にストーリーと言うか、何を描いているかについては注意深くお伝えするようにしてきました。
また、2度ほど、ぼくは作品にタイトルとテーマの他に「テーマソング」を作り、作品完成後にそれを弾語りをする(ギターをぼく、ピアノをプレイヤーに頼んで)という趣向にも挑みました。
これはとても楽しかったです。まあ、曲作ったり練習したり、とても負担になるので長らくやってませんが(笑)
この10年間でいろいろなやり方を試してきました。・・・が、結局最近はというと「無音」で「1時間もくもくと行う」というスタイルが多いです。
これまでの経験でいろんなことが知れましたが、意外とちびっこもしっかり見ている(赤ん坊は泣くのが仕事なんで別ですが)。ウロウロしたりもせず。まあもちろんジッと見ていなくても良い環境ではずっとやっていきたいとは思ってますが、とにかく楽しんでくれているようです。
昨年の秋に福井県の図書館でパフォーマンスしたときは、70くらいの年配の女性がこんな言葉をおっしゃってくれました。
「わたしが今まで生きてきた中で、一番すごいもんを見せて頂きました!」
公演後に質問の時間を設けて観客の人々とコミュニケーションを取らせていただいたんですが、ちょっとこの言葉は感極まりそうになりました💦 純粋に嬉しかった。
あ、そうそう何年も前に頂いたこの言葉も嬉しかった。
「Hachiさんのカッターナイフ持った手が動くじゃない?
あれが魔法の杖に見えた。手の動きに合わせていろんな色が現れるから!」
そんなふうに、みなさんからいろんな表現の誉め言葉をもらうと、もっと面白いもの作ろうって気になります。それにしても・・・ぼくのカッターは魔法の杖かあ。
まあいまはちょっとコロナの影響もあるから、大きな会場での開催は控えておりますが(実際2月に招かれていた某イベントが延期に)、また心置きなくこの魔法の杖をふるう時はぜひその目で確かめにきてくださいね!
全国各地どこへでも飛んでいきます!
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