Hachiの作品(since2012)

N社へ。

目次

アーティストとして生きるということ。

人間として生まれた。全員、考え方も価値観もばらばらだけど。
でも、生き方を自由に選べる時代に生まれたという点でわれわれは、仲間みたいなものです。
いろんな生き方がある中で、ぼくの仲間たちはこの呼び方に属する人々。

アーティストとして生きる。

切り絵アーティストという肩書を持って生きるぼくにとって、油絵を描こうが、イラストをタブレットで描こうが、ひとつの仲間だと思っています。その仲間たちも、次のような選択肢によってさらに細分化されます。

〇アートだけを仕事にするか、副業を持つか
〇ギャラリーに属するか属さないか
〇ギャラリーと時々関わるか、関わらないか

アートだけを副業にする、にしてもぼくのように絵画教室をやったり、デザインの仕事もやったり(ごく稀ですが)、作品販売する以外のことを収入にしている場合もあり、様々なスタイルが選べます。

ぼくはギャラリーに属しておらず、ほとんど関わらないです。それはぼくがギャラリーというものを信用していないからです。アートよりもお金や名声を愛している人がほとんどの印象です。でもこれはいち個人的な考えです。


ぼくの周囲の仲間たちもいろんなパターンで生きていますが、ギャラリーに関わっているアーティストのことをどうこうなどと一ミリも思っていません。むしろ気に入られて羨ましいなと思っているぐらいです。

ここまでの話の掘り下げはまた別の機会にブログで書きますが、今回においては、あくまで前段のお話です。

愛のない関係。

まずは上記の「ざっくりした区分」の中にいる誰もが結局1人きりで孤独にアートと向き合っている、ということをご理解していただきたい。

アート以外で収入を得ている人も、そうでない人も、身を、時間を削って作品を生み出し、その喜びを放射して生きている崇高な人々です。
そして同時にか弱い。
作品制作というものがなければ、二の足で立っていられないほど、か弱い生き物でもあります。

そんなか弱いわれわれは、仕事の依頼が舞い込むのを首を長くしながらスマホとにらめっこしている時間が結構あります。
今ならインスタのDMが主なツールですがメールなど開封するとそのほとんどが、アート会社を名乗る者からの海外出展やプロモーションのお誘いです。
簡単に言うと、彼らからするとわれわれアーティスト側が商売のターゲットになっているということです。

われわれアーティストの思いは作品を売り、お金を手にしたい。
一人残らずそう思っているに違いない。
そのわれわれが企業の商売のターゲットになる。

こう書くと、彼ら企業を否定しているように思われるかもしれませんがそうではありません。
ぼくもこのアーティスト稼業13年の間に、単発的なイベントやプロモーションのお誘いを受け、安いとは言えない金額を支払ってきました。それらは自分のPRになるものとして、いわば投資したものと思っています。
一般の企業でもCMや広告、社員向けの講座に外部講師を招いたりして、自社を強化することにお金を使う。だから自然なことです。
それらの詳細はここでは書きませんがぼく自身、これまで使ったお金は十分もとの取れた投資だと思っております。

しかし、ぼくがその都度関わったアート会社とは二度と関わることのない関係でした。
お金を払い、イベントが終わる、一回こっきりの関係。
これはこちらが見限ったというよりは、「次々と単発で関われるアーティスト探し」に奔走する向こうさんに一人のアーティストとしっかり寄り添う情熱がないから、というのが答えです。
ひとつのイベントが終わると、また別のアーティストを探して声をかけ勧誘する。これを自転車操業的に繰り返していくわけです。

決してこれがダメというわけではなく、そういうやり方であるならばわれわれもその土俵にあがりそのルールに則ってことをなす。
「一晩だけの相手を探している」というのであればこっちも遊びで抱きます、みたいなことです。一途な恋には発展しない。

相手によって付き合い方を変えるというのは、どんな界隈でも成立する理屈だと思います。

N社。

ようやく本題です。
昨年2025年、あるアート会社からのDMを受け、ぼくは関わることにしました。
N社としましょう(会社名は伏せます。なぜかというと、今でも関わっておられるアーティストがいるだろうし、彼らは彼らで良好な関係を築いているかもしれませんので、あくまでここではHachiの個人的なエピソードとしてお読みください)
そのN社の担当の方とお電話で話し、アーティストの継続的なプロモーションを謳う営業で、ぼくは胸を打たれて関わることにしたのでした。

こちらが月額料金を支払う契約だったので、さすがにいい加減なことはしないだろうという見通しでした。安くない金額を受け取るからにはそれなりにやってくれるだろう、という見立てです。

しかし、いざ月額の引き落としが始まると、何もしない。
会社のホームページに個別のページ、作品販売リストを作ってもらいましたが、これを更新するのもこちらの作業。
「サイトでVR個展をしないか」などの別途料金のかかる案内は一斉送信メールでしょっちゅう来るけれど、個別に作品を販売するための努力の痕跡が全く見えない。

「全力でサポートします」
契約前のメールで彼は言いました。
「おれはおまえだけやで」
とベッドでささやくフニャチン野郎と同じです。

ぼくは半年、泳がしました。月々4,000円。緩くはない額ですが。

サイトで作品やプロフィールを載せるだけなら、このぼくのオフィシャルWEBサイトでも十分に効力を発揮している。
おまけに、「月夜の約束」という50万円を超えるぼくの作品もN社のページに載せていたのですがそこでは一切反応もなく、この半年の間にぼくが直接お客さんのもとへ営業に行って対面で売ってきました。

N社のサイトを見るとわかりますが、無料掲載のアーティストも混在している。
そのおかげで、ものすごいでかいアート会社に見える。
とにかくいろんなアーティストの名前をバキューミングして、ごった返してるんです。

ぼくの選択した有料契約と無料掲載アーティストは、それぞれ受け取る特典の違いがありますが(たとえばぼくのような有料で関わっているアーティストは販売手数料がかからない、であるとかその程度です)、販売作品のリストはどちらも等しく掲載できる。N社のやり方はそういうなりふり構わないスタイル。
彼らのアーティストへの誘い文句も「無料掲載します」と明言しており、毎月4,000円支払っているぼくの価値も薄まってしまう。

堪忍袋の緒が切れて、半年経った秋口から解約を申し出ましたがそもそも「2年契約」とのこと。つまり2027年4月までこの状態が続きつつ、お金だけが引き落とされると返答がありました。もちろんメールで。
ことを荒立てず、このままやりすごそうか、とも思いました。勉強代、と納得させようかとも思いました。

いやしかし。

われわれは世の中からはぐれた芸術家。
ことを荒立ててなんぼやろ。

ぼくは社長さん宛に抗議文をしたためました。

このA3パネルにして。

最初はA2(420×594㎜)くらいのパネルにして送ろうかと思いましたが、送料もかかるし阿保らしいのでこのくらいにしておきました。

手紙、と呼ぶには処分しにくい目立つオブジェです。

画像では読みにくいので、全文を掲載いたします。

A3パネル(N社への手紙)

株式会社N
T 様

兵庫県在住の切り絵アーティストHachiこと八田員成と申します。

N社所属アーティストの一人です。この度お手紙させていただいたのは、契約料として現在月々引き落とし中の3,960円の支払いを拒否する旨を伝えるためです。

昨年4月より入会させていただきましたが、御社のページに掲載した作品が全く売れません。売れる売れないはさておき、皆様が「売るための仕事」をしている様子がうかがえないことが一番の要因で、私は昨年秋に解約をいたしました。しかし、契約上あと1年少し、この額を支払い続けるというのはあまりにも屈辱極まりなくしたためた次第です。

私は営業職を脱サラし13年、アーティストとして活動をしてきた中で様々な、アートを扱う名目の会社にお金を使ってきました。どれも合法ではあるものの集金重視の軽薄な会社で、恥ずかしげもなく「アーティストをサポートする」「アートで社会貢献が理念」といった口当たりの良い謳い文句ですり寄ってきました。どの会社もお金を支払ったとたんに次の獲物さがしに忙しいのか、こちらをほっぽらかす。それでも私は自身の今後のPRの役に立つと思い、「キャリア、ネームバリューを買う」つもりで時々は関わってきました。つかず離れず、利用できる相手は利用しようと、単発的なイベントに投資してまいりました。

しかし今回、御社の〇〇氏のお話を聞き、「全力でサポートします」という言葉をうのみにし血の通った継続的な関りを期待しました。しかし契約後は一斉メールが送られてくるのみ。それもWEB個展という時代遅れなフォーマットやわれわれアーティストが財布のひもをゆるめないといけない内容のPRに終始。(それらに興味を示さないといっさい血の通った連絡もない)つまりこちらを慮るものではなく、ただただセールスに勤しんでおられる。うまくこちらをやりこもうとする意志が透けて見える散々な始末。これのどこがアーティストサポートなのでしょうか。社会貢献云々を語る前に、そもそも御社がかっこよく主張する「われわれアーティスト側に立った仕事」をしてください。

話を冒頭に戻しますが「月々の支払いは満了日まで解除できない」これは紙っ切れ上での正論でしょう。それは分かります。私は大学時代法学部でした。しかし、芸術家が「生きる」「戦う」に熱を燃やして作った売り上げを、企業などという存在がただ翌月の経費の確保にしていいわけがない。

得体のしれないまま身銭を切ることほど私のお金にかわいそうなことはない。絵画教室もやっている俺にとっては、愛や魂で得たお金だから。よって上記の通り月々の支払いを拒否します。

拒否を受けて下さらないなら、以下の提示を実現してくだい。

一、「これまで御社が私のために何をしてきたか」についてのリポートの提出。またそれはこちらの月々の支払いに見合うものだったかどうか、社員2名以上の感想を添えてください
一、毎月1枚、私の作品を売る。もしくは売るためのアイデアを提案する
一、2/10に新宿で行うLIVE切り絵パフォーマンスへの来場。(招待ではない。チャージ3,000円と1ドリンクのお支払いを)※定員があるので速やかに来場人数を申し出る必要あり

テンプレートに則った回答は要りません。どうか頭で、心で考えたお言葉をください。

切り絵アーティストHachiこと八田員成 拝

おれたちは人を笑顔にする前に自分を笑顔にしたい。

返答、と言えるのかどうかはなはだ疑問ですが、最短の契約打ち切りを了承して頂きました。
手紙の内容に対するレスポンスは特にありません。
ホッとしたというよりは「なんて骨のない連中なんだ」というのが正直な感想です。
結局はその場しのぎのお金を得るための仕事というわけです。

アートで世の中を幸せに、笑顔に。

そんなことを彼らのサイトでは文言に利用しています。
まずはおれらアーティストを笑顔にしてみてはどうだろうか。

これはアーティスト全員の本意ではないだろうけれど、おれは人よりもまず最初に自分を笑顔にしたいと思っています。

大好きな人に会いに行くのも、素敵な作品をしんどい思いして完成させるのも、自分が笑顔になるから。それは人として器が小さいことなのかもしれない。…かもしれないが、少なくとも誰にも嘘はついていない。
嘘つきになってまでおれはお金を稼いだり、知名度を上げたりはしない。

さあ、アート会社たちよ。
「プロモーションいかがですか」でも、「イベントいかがですか」でも何でもいい。
どこからでも営業のメール送ってきなさい。
そのかわり生半可な覚悟では許さない。

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