フジテレビの番組に出演!
さて、2020年にフジテレビ「ワイドナショー」で紹介して頂いた作品。
これは番組にスタジオ出演させて頂いた際も、実際にぼくの自宅アトリエで原画を見ていただた皆さんにも、大変ご好評頂いた作品です。
この作品はメインMCでもある松本人志さんの横顔に、レギュラー出演者の皆様の顔を描き入れているという、一風変わった切り絵でした。
番組では常時「番組をテーマにしたアート作品を作ってください♪」という募集が行われており、ぼくはそれにエントリーしたわけです。
テレビをご覧になった方々の反響も大きくて、オンエア後2日間Twitterの通知が鳴りやまないほどでした・・・
山田洋次監督からお手紙を頂戴しました!
また翌年、ぼくはある方から便箋3枚のお手紙を頂戴することになります。
その人は映画監督・山田洋次さん。日本を代表する映画監督ですね。
「男はつらいよ」「キネマの神様」でお馴染みの生きるレジェンドのような方。
ぼくは寅さんの大ファンでして、主演の渥美清さんの顔の中に、
「男はつらいよ」全50作に登場するヒロインを全員描いた切り絵という、ちょっと狂気じみた作品を制作。
これを山田監督にファンレターとともにお送りしました。
便箋8枚ぎっしりのファンレターとともに。
1週間もしないうちに山田監督からわざわざ・・・直筆のお手紙を頂いたんです!!
直筆ですよ!!!
・・・さて、この2つの作品にはぼくなりの共通点というものがあります。それは作風とかそういうことではなく、動機みたいなものです。
2つの作品の動機
それは、売名? ・・・なくもないですね
お金・・・や、違います。どちらも何も利益なしです
では何のためでしょうか??
それは「伝えたい想いはいますぐ伝えねば」という強い動機に突き動かされたからです。
2020年初め、コロナ禍が席巻。テレビ、ネットをぼーっと見ている間に、有名人の死者も増えていく。
なかでも志村けんさんの他界は本当に悔しく、その日は酒買い込んで泣いて夜を明かすほどでした。楽しみにしていたんです、山田洋次監督の映画主演デビューを。
また同時にぼくは大好きだった「ワイドナショー」を見ながら、
「この出演者の方々が誰一人欠けることなく、日々が過ぎていきますように」
という強い気持ちを抱きました。
いつだれがいなくなってもおかしくない、そんな切羽詰まった時期でしたよねこの頃。
人には、その人にしかできないことがある。お金に換算したらどれほどの値打ちを持っていようと、死んでしまったら元も子もない。そんなふうに思うようになりました。
ぼくにできることはやはり、作品を作ることでした。同じ作るなら、誰かのために祈りたい。
ぼくは「ワイドナショーの光と影」はそんな思いで作りました。ほんとうに誰一人かなしいことにならないようにと、強い祈りを込めて描きました。
翌年に山田監督へ渾身の切り絵をお贈りしたのもそれと同じ思いです。
どちらも、
ファンレターとラブレターの合間のような切り絵。
当然、報酬があるわけでもないし、メディアとかに取沙汰とかされなくてもいいんです。
お金とか名誉は、あとからいくらでも手に入れる機会はあると思うんです。でも「好きです」という思いを伝えるのは、そう思った今この瞬間しかなく、金に換算できない。
忙しかろうと、貧乏だろうとできる行為。きっと後悔するって思ったんです。
そもそもぼくが絵を描いたり、切り絵をしたり、アート作品を作るのはそれが原動力だから絶対忘れてはならないことなんです。
好きな女の子を笑わせたり、親に褒めてもらったり、そんな誰かからのささやかだけれど温かい反応を求めて。
すごく俯瞰から自分を見ると、心のどこかで「そういう気持ち、絶対忘れんなよ」と鼓舞するためにとった行動だったかもしれません。
人気カメラマン・山岸伸さんの「瞬間の顔」というシリーズの中で撮影された山田洋次監督のショット。
この中にぼくが描いた切り絵も映り込んでいます(月刊「デジタルカメラマガジン」2022年3月号にも掲載!!)。天にも昇るような喜びで倒れそうでしたが、決してそういう結果やらを求めたんではなく、ただただ想いを伝えたかっただけ。
もちろんそういう形みたいなものが残ると嬉しいんですが、それは想いとプロセスあってのことですもんね。
結果や結論は、ただの表面的な反応でしかない
ぼくが自分の教室で伝えたいこと、伝播させたいのは技術よりもやっぱり「想い」なんですね。まあ、鍛練も必要ですが、そこに執着したり溺れないように、つまり技術というものに操られてはいけないと思っています。
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