新しいスタイルでトライした
ライブ切り絵作品。
「完成したら破棄」
というこれまで動機とは別の意義をもって臨みました。
そんな想いが見透かされたかのように、完成直後にお客様にお買い上げいただくことになり、本日無事、お届けしてまいりました。
「EQUAL」と名付けました。
イコール。
あのイコールです、算数の。
この世に存在する差異について、常日頃よく考えます。
男と女、若きと老い、生と死、愛と無関心、空と陸、鳥と魚。
すべては目に見えて、ふれても分かるような隔たりで仕切られています。
けれど、無心に絵を描いているとき、切り絵を描いているとき、つまり表面的な形を追い求めているとき、ふと気づくことがあります。
それぞれの姿形に、さほど違いがないと。
鳥の曲線を辿りながら、それはいつか描いた魚の形に似ていると気づいたり、新緑の葉の形を描きながらもいつしか、ハートマークに見違えるほど可愛い記号に変化したり、あらゆるものの形や姿はまるで、多少の違いを表面的に見せた、ひとつの人格のようであると気づくのです。
あたかも幼い子供が、長い紐を使って切断することなく、さまざまな形を作って戯れているかのように、ひとつの粘土で、いくつもの生き物を作ってはまた別の万物に着手するみたいに。
この「EQUAL」は、あらゆるものを分断することによってしか、その価値や意識を認識できない、われわれ人間のか弱さを、自身もふくめ、愛でる想いで完成させました。
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